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教員コラム 第5回
「監査制度の展開を追いかけて」

会計監査研究/会計監査 担当

経営学部 教授
大野 公義
 わが国が公認会計士制度を導入し,証券取引法にもとづく財務諸表監査を発足させたのは第二次世界大戦後の1951年(昭和26年)である。 以来50年間に会計基準のグローバル化が進み,それと呼応して監査制度も国際化しつつある。もともと財務諸表監査の役割は,企業の財政 状態と経営成績にかんする開示情報の信頼性を保証することであるとされ,会計不正の摘発は付随的な目的であり,また,企業経営の 適否や将来予測に監査は言及しないとするのが,各国の監査実務家と監査研究者の一致した見解であった。
 しかし,社会の監査制度に対する期待は,現実的な企業の不正摘発や経営破綻を警告することであり,ここに期待ギャップが存在する。 その一つはアメリカに見るように,財務諸表について「適正」意見を表明された企業が一年も経ずに破綻した場合,監査人の責任を問う 訴訟が提起される事例が増えていることである。
 2002年のわが国の監査基準改訂においては,上述のような国際的動向を考慮して,財務諸表が適正であるとの監査意見の表明は, 財務諸表に重要な虚偽記載が含まれていないとの確証を監査人が得たとの含意があることを明記させ,また,企業の存続可能性に重要な 疑義が存在するときは,経営者にその旨および改善策を開示させると共に,監査人にはその警告情報が適切であるか否かを追記報告させる 規定を追加した。しかし,企業の存続可能性に言及することは,監査の責任範囲を拡大し,予測情報のリスクをともなうという批判もあり, 監査研究はまだ解決すべき問題を抱えている。
 私自身は,監査論研究のスタートを切った1960年代初期が,ちょうど会計分野でコンピュータの実用化が始まった時期にあたっており, 会計記録の磁気化が監査にどのような影響を与えるかに関心を持ち続けてきた。財務諸表監査を実施する前提である企業の内部統制の 有効性評価にあたって,監査人がコンピュータ・システムに組み込まれた内部統制をいかに評価するか,磁気記録化した取引記録の証拠 能力はどう変化しているか等の問題もまた,インターネット時代の研究課題である。

 

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