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教員コラム 第6回
「企業のグローバル化戦略:ヒエラルキー(内部化)から『ネットワーキング』へ」

多国籍企業論研究 担当

経営学部 教授
亀井 正義
  1980年代、欧米日多国籍企業は、対外直接投資(FDI)を激増させましたが、これを理論的に説明するものとして、もてはやされたのが内部化論です。 この理論は企業が原材料、部品、製品を市場で調達するよりも、自社内で調達(生産)するほうが、利益がより大きいとするものです。 市場調達には取引コストがかかりすぎるからです。多国籍企業が外国でこの調達活動を工場建設や他企業の買収(M&A)を通して行いますが、 これは換言すればFDIを行うことです。それゆえ、FDIは市場調達を内部化する行為であるといえます。 ただし、ここでのFDIは、資本持分(エクイティ)の過半数所有または完全所有のそれを意味しています。
 その内部化論にも問題があります。ひとつは組織上の問題です。 FDIにより、組織が肥大化し、命令がヒエラルキー(階級組織)の頂点から現地拠点の経営者に達するまで時間ががかり、意思決定が迅速性を欠くことになるからです。 また現地経営者、とりわけ買収企業の組織下に置かれるようになった被買収企業の現地経営者は、 重要意思決定が上から下されることにより、ロボット化され、モチベーションをなくす虞があります。 この場合には権限委譲を如何に行うかが問題となります。
 もうひとつは経営資源の効率的利用の問題です。1990年代に入り、日本経済のバブル崩壊後、日本企業において、不良債権の山、大幅赤字決算、さらに倒産が続出したが、 このような不況期には、内部化論は妥当性を失います。経営資源の効率利用のために、コア事業に集中し、その他の事業を外部化することが、すなわち「餅は餅屋に任せる」ことが重要となります。 日本企業がいっせいにリストラに走ったのは周知のところです。
 調達活動を、市場に依存するか、内部組織に依存するかの選択の他に、最近増大してきている方法は、「ネットワーキング(networking)」、すなわち「独立企業間の提携」に依存するものです。 これは、市場取引と組織の持つ欠点を補い、限られた経営資源の有効利用に寄与するものとみられています。
 今後このテーマについて、さらに研究を深めていきたいと考えています。 大学院の担当科目「多国籍企業研究」ではこのような現代的な問題の他に、多国籍企業の生成・発展、その経営行動と構造を考察したいと考えています。
 

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