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教員コラム 第7回
「財務諸表監査における倫理的論証」

会計監査論研究/会計監査 担当

経営学部 教授
加藤 正浩
   私が現在関心を持っている研究テーマは、財務諸表監査の過程において監査人が遭遇する当為命題に関する論証手続、つまり倫理的論証です。
 人間が行う判断には、事実的信条に関する事実的判断と、当為的信条に関する当為的判断とがあります。事実的判断は、観察、実験、仮説検定などの 方法を用いて事実を物理的に確かめることによって行うことができますが、当為的判断は、当為的信条が価値観をともない、価値観は目や触感で確かめる ことができず、しかも感情、希望、主観的選好という要素が多分に関わってくるので、事実的信条に関する判断と同じようには行うことができません。 当為的判断は妥当な根拠を思索することによって可能となります。
 当為判断の論証手続、すなわち倫理的論証は、当為立言を要証命題として、妥当な根拠を思索しつつ特定し、当為立言そのものの妥当性について立証する手続です。 この手続においては根拠の妥当性を何に基づいて判断するかということが課題となりますが、基本的には「人間行為、価値などについて、正誤、善悪を判断する うえでの価値観や判断基準・規則」すなわち「道徳」に基づいて判断を行います。ただし、監査人のように倫理的論証に社会的な妥当性が要求される場合には、 「道徳」について「道徳を判断するための体系的な諸原則」すなわち「倫理」に基づいて判断を行うことが要求されます。道徳の妥当性の判断基準である倫理または 倫理的原則については、規範倫理学の成果に依拠しなくてはなりませんが、英米においては、自由主義と帰結主義、とくに功利主義とが倫理的原則の根本的なフレーム ワークを形成していると見ることができます。
 このことについての論文が会計学の専門誌『曾計』(森山書店)4月号に掲載されます。参考にしてください。

 

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