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教員コラム 第9回
             
「意思決定を科学する」

経営組織論研究/組織マネジメント 担当

経営学部 教授
重本 直利
   現代経営学、管理論にとって重要なテーマの一つは意思決定(判断・選択)です。そこで、意思決定を中心にした 相互関係の話をすると、受講生から「意思決定は簡単だが、行動するのが難しい」という質問をよく受けます。 これに対して私は、「いかに正しく意思決定するかということが実に難しく、意思決定が正しく行われれば、 行動は簡単、意思決定の内容をただ実行に移すだけ」と答える。そうすると、「意思決定をしても行動できなくて 挫折することが多い」という質問が返ってきます。私は、「それは意思決定が間違っているからだ」と答え、 さらに「行動できないのは意気地がないからだ」と付け加えます。
 情報―意思決定―行動、目的―意思決定―手段、これらの相互関係を十分把握して意思決定することは 至難の業です(なお、この内容は、H・A・サイモンの『経営行動』と『意思決定の科学』で詳しく論じられて います)。例えば、どの大学に入学するか、どの会社に就職するか、誰と結婚するか、どこに居住するか等々の 意思決定は、人生をただ一度きりのものと考えると、実に難しいことです。特に、自分の個性、能力、性格などを 把握し、かつ周りの諸状況をふまえて意思決定を行うことは実に難しい。
 有名な諺に、「彼を知り己を知れば百戦殆(あや)うからず」があります。意思決定を正しく行うことは実に 時間のかかることですが、十分な情報と明確な目的と必要な手段、そして何よりも自分自身についての正しい 把握が必要です。我々は意思決定にあたっていろいろと思い悩みますが、十分時間をかけて意思決定をすれば、 後は実行するだけです。もちろん、短時間で意思決定をし常時フィードバッグをかけながら内容を修正し目的を 達成するのが一般的なことだとは思いますが、この場合でも常に意思決定をめぐる相互関係を自覚しておく 必要があります。
 しかし、人生は間違いと失敗の連続です。それが人生を豊かにしまた価値あるものとします。いくら事前に しっかりと意思決定をしても間違いと失敗は避けられません。であるなら、きちっと意思決定をしてきちっと 間違い・失敗をする。「正しく」間違うことが、その後の展開にとって重要となります。意思決定は人生を 豊かに意義あるものとするためのキーワードです。経営学は「金儲けの学問」ではありません。個々人の人生を 豊かにするための学問です。

 

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