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| 「日本の会計ビッグバンと経営変革」 |
企業会計T担当
経営学部 教授 原 光世 |
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1980年代に入ってから経済のグローバル化が一段と加速し、企業会計においても、「会計の国際化」を
めぐって活発な動きがみられる。ここ数年、新聞の経済・経営欄や経済週刊誌等でも、「国際会計基準」を
はじめ各種の会計関連記事が頻繁に報じられるようになった。それまで、マスコミの注目を集める会計問題と
いえば、ほとんど粉飾決算のような派手な事件絡みのものに限られており、地味で特殊な会計基準のような
記事が紙面のトップを飾ると言うことはなかった。
マスコミにこのような報道姿勢の変化をもたらした背景としてつぎの2つを指摘できる。1つは、90年代の
後半から始まった、「会計ビッグバン」と称されるわが国会計制度の大改革である。もう1つは、国際会計
基準の採用をめぐって展開された会計国際化の激動がある。もっとも、会計ビッグバンを促した大きな要因と
して、会計の国際化とうい大きな流れがあるので、会計ビッグバンと会計国際化は盾の両面と見ることも
できる。
会計ビッグバンの中心は、企業会計の計算・開示の基本ルールである会計基準の大改正であるが、変革のキーワードは、
@連結財務諸表の重視
A時価会計の導入
Bキャッシュフロー計算書
C税効果会計などである。
一連の会計ルールの改革によって、これまではっきりと見えなかった企業の経営実態が明らかになり、この
ことが企業経営に激震をもたらしたと言われている。連結重視によって、子会社、関連会社等を巧み操作して
の「損失隠し」は困難になったし、また時価会計の導入によって会社の含み益や含み損が財務諸表に反映
されるようになった。この結果、業績の悪い子会社、関連会社の整理や統合が急速に進み、会計マジックの
ようにも見える含み依存経営からの訣別を迫られることとなった。逆に資産の含み損を抱える企業は、その
先送りは許されず、早期の処理を求められている。
さらには、退職金・年金に関する新基準の導入によって、「隠れ債務」とも言われた巨額の退職給付債務が
表面化することで年金資産の積み立て不足が明らかになり、企業は巨額の特別損失の計上を迫られた。
当初から意図して行ったことではないが、結果から見ると、バブル経済崩壊後のいわゆる「負の遺産」の
処理を企業に迫ったといえる。会計ビッグバンは、日本企業に急速な経営変革をもたらしたという視点から
高く評価することもできる。
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