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教員コラム 第13回
「イノベーションと企業家」

経営史研究/京都企業と経営史 担当

経営学部 教授
藤田 誠久
 「まだデフレ」とも、「もうバブル」とも言う。景気回復の兆しが見え始めたとはいえ、 ビジネス社会はまだまだ「不透明感」を抱いており、「出口の見えない」空気を何らかの形で感じとっているようである。
 こうした現状の中で、「企業家」に関する歴史的研究に関心が高まってきており、 その関係の書物も数多く出版されてきている。企業家という言葉の語源はフランス語のアントルプルヌールという言葉で、 もともとは「公共的音楽施設の指揮者あるいは支配人」という意味であった。日本でも雅楽の「音頭取り」から経営のリーダーを 意味する「頭取」という言葉が生まれ、いまも銀行の「頭取」という名称で残っている。 こうしたビジネス・リーダーとしての語源が同じであることは非常に興味深い。
 企業家がその主体性を発揮するものに「イノベーション(革新)」がある。イノベーションは、いいかえれば「慣行軌道の変更」である。 つまり従来の軌道からはずれ、均衡を破壊し、一種の非連続の状態を引き起こすことである。 こうしたイノベーションの概念を提唱したJ.シュンペーターは、「新結合の遂行を自らの職能とし、その遂行に当たって 能動的要素となる経済主体」を企業家と定義している。
 こうしたイノベーションにも、ブレークスルー的なドラスティックな革新(根本的革新)もあれば、どちらかといえば日本企業が得意としてきた、 インクレメンタルな革新(斬新的革新)もある。またトヨタに代表されるJITのような地道な改善を重ねて達成された要素と 初発からの根本的な革新とが合わさって製造方式の大規模な革新をなしたようなケースもある。
 いずれにしても、財やサービスに個性や多様性が求められる時代だからこそ、従来からの固定概念を打破し、 ダイナミックな発想と実現に向けたプロセスを歩む人間(企業家)の主体的側面に深い関心を持たざるし、 研究の進化が望まれるのである。

 

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