Q12:会計監査論の答え
結婚するためにお見合いをするときには身上書、履歴書を見てお見合い相手のことを知りますよね。投資家も会社へ投資するために財務諸表を見て投資相手のことを知ります。財務諸表とは、会社の経営成績や財政状態を示す表で、その表からは収益力、成長性、安全性などを知ることができます。でも、もし財務諸表が信頼できないものであったとしたら、投資家は適切な判断ができません。
財務諸表が信頼できるものとなるように、財務諸表には公認会計士を監査人とする監査が義務づけられています。監査人は独立公正な立場から検査を行ったうえで、財務諸表が適正に作成されているかどうかについて意見を表明します。その意見表明のための書類が監査報告書なのです。財務諸表が適正に作成されていると示す監査報告書が添付されていれば、財務諸表が信頼できるものであるということが投資家に分かります。
ところで、財務諸表は監査報告書がないとなぜ信頼できないのでしょうか。それには主に2つの理由があります。
1つは、財務諸表が経営者の成績を示すものであるのにもかかわらず、経営者自身が作成するからです。ヒトは自分の成績表を自分で作成するとなると、成績がよくないときには特に正直には作りたくないものですよね。でも、成績が悪いときほど正直な報告が必要なものなのです。もし財務諸表を作成するときに、監査人という第三者によって検査を受けることが分かっていれば、正直に作ろうという気になるものです。
2つめの理由は、財務諸表が記録、判断、慣習という不確かなものに基づいて作成されるからです。人間は記録という作業をするうえで間違いをしていることがよくあります。また、財務諸表を作成するうえでは作成方法が1つには限られていず、いくつもの方法から選択をして作成しなければなりません。しかも、その方法は主に慣習によって決められていて、必ずしも合理的であるわけではありません。財務諸表を作成するうえでは、記録や判断が正しく行われているかどうか、慣習に従うことが合理的かどうかについて、確かめられないといけないのです。
「会計監査論」では、財務諸表が適正に作成されているという監査報告書を監査人に作成してもらうようにするために、どのような記録や判断が正しいかとか、どのような慣習に従うことが合理的であるかについて考える判断基準を学びます。
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