Q8:人的資源管理論の答え

 グラフAは企業の正社員の割合の推移を、グラフBは非正社員の割合の推移を示しています。

 よく言われる「平成不況」中の1998年頃をさかいに正社員が減少し、非正社員が大幅に増加しています。このような現象を、人的資源管理論では「雇用形態の多様化」と呼んでいます。

 雇用形態の多様化とは、「企業などにおいて、正規従業員に加えて、パートタイム労働者や派遣労働者などの雇用形態の異なる非正規従業員を組み合わせていること」をいいます。ちなみに、平成16年現在、3人に1人が非正規従業員となっています。

 非正規従業員が活用される理由として、次のようなことが考えられます。

 まず、非正規従業員は雇用の調整弁(≒人件費の節約)としての役割を担っています。日本では解雇権濫用の法理が確立していて、正規従業員を理由もなく解雇することはできませんが、非正規従業員は有期契約ということもあって、不況期などには、その雇止め(雇用契約を更新しないこと)が比較的に容易です。また、正規従業員と非正規従業員では賃金などの処遇にも大きな差があります。そこで、非正規従業員の働き方を不安定就労と呼ぶこともあります。

 次に、産業構造の高度化、つまり、第一次産業(農業・林業・漁業・鉱業)や第二次産業(製造業・建設業・電気・ガス)よりも第三次産業(小売業・飲食店など)に従事する人が増加していることがあげられます。時間帯によって忙しい時と暇な時がある仕事、たとえば飲食業などでは忙しい時間帯だけ働いてもらう従業員がどうしても必要です。コンビニやファミレスなどは、学生アルバイトの労働力提供がなければ考えられない世界(業態)です。その他、価値観の多様化に基づく働き方の多様化など、がその理由としてあげられます。

 大事なことは、今日の多くの企業経営の成功は、このような非正規従業員から貢献を引き出すことに大きく依存しているということです。これも「人的資源管理論」で学ぶ一例です。

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