龍谷大学
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龍谷大学経営学研究科ビジネス(MBA)コース集会 生産システムサロン

第14回(2001年11月17日)

ハイライト「国家資格者特集」

・「中小企業診断士」中田和男氏(SCAN:第1期修了者)
中小企業基本法の改正により、中小企業診断士制度は平成13年度より大きく変わった。仕事の中心は、経営革新と創業の促進に移り、中小企業には不足しがちな専門的知識を提供し、経営のコンサルティングを行う。中小企業経営全般に関する幅広い知識が必要であり、試験科目としては、■経済学・経済政策、■財務・会計、■企業経営理論、■運営管理、■経営法務、■新規事業開発、■経営情報システム、■中小企業経営、■中小企業政策(国及都道府県施策)、■助言能力、がある。またITの重要性からITC(インフォメーション・テクノロジー・コンサルタント)制度が発足した。中小企業診断士は、会計士、税理士と共にITC特別認定の対象となった。今 後中小企業のIT支援はITCが中心となる。
・「技術士」八代 弘氏(八代技術士事務所:第2期修了者)
技術士とは技術法に基づく国家資格である。制度は部門制で機械、建設、電気・電子、科学、経営工学、情報工学など現在20部門ある。その専門知識を活かし、科学技術に関する計画、研究、設計、分析、試験、評価、またはこれらに関する指導の業務を行う。技術士の大多数はコンサルタントと会社に勤務して公共事業に従事するか、企業に勤務し上級技術者として働いている、ただ15%程度ではあるが、自営でコンサルティングを行っている技術士もいる。この国家資格は建設コンサルタントには必要であるが、中小企業診断士同様、必ず必要とする業務は少ない。海外では価値ある資格となっており、今後その重要性が認知されていくことが期待される。試験の実質倍率は8~9倍程度ある。
・「社会保険労務士」(1)松山延寿氏(松山労務管理事務所:第8期生)
社会保険労務士とは、社会保険労務士法に基づいて実施する国家試験合格者のうち、社会保険労務士名簿に登録した者をいう。主として事業所と顧問契約を締結し、事業者が行政機関に提出する申請書、届出書、報告書、審査請求書、異議申立書、再審請求書等の作成及び提出を代行する業務、行政機関の調査もしくは処分についての主張もしくは陳述を代理する業務、事業所に備え付けが義務付けられている法定帳簿書類・労務書類を作成する業務、事業所における 人事・労務管理に関する諸問題、法令についての相談および指導を行う労務管理コンサルティング業務を行う。受験者は近年、年々増加している。倍率は12倍程度である。
・「社会保険労務士」(2)松山幸氏(松山労務管理事務所:第1期修了者)
社会保険労務士は、公的資格者として社会活動を行なっている。その社会活動として、労働保険適用促進巡回相談、社会保険未適用事業所巡回相談、雇用保険重点指導、賃金コンサルタント等の行政及び行政関係団体に対する協力事業、暮らしの1日無料相談や労務士の1日無料相談、金融機関等が実施する年金相談や 商工会議所等各種経済団体が主催する講演会への相談員や講師の派遣がある。今後社会保険労務士の業務は、労使紛争解決への参加や電子申請への対応が迫られる。また関連法改正が急速に進み、社会政策が複雑化しているため、専門性が高まると考えられる。
・「税理士」 田中久喜氏(田中久喜税理士事務所:第7期生)
税理士は、他人の求めに応じ、■代理業務、■税務書類の作成、■税務相談、■会計業務を行う。税理士になるには、通常税理士試験(税法3科目と会計学2科目)に合格する必要があるが、長年の税務署勤務や大学院修士課程修了により取得する道もある。近年、事業者数が減少し、税理士数が増加しているため、税理士業界を取り巻く環境は厳しさを増している。また規制改革により、独占業務が維持できなくなる可能性さえでてきている。このような状況の中、2003年から電子申告が開始される。IT対応を行ないながら、経営戦略に参画していけるかが、今後の活躍のキーポイントになってくると思われる。
・「公認会計士」桑原雅行氏(中央青山監査法人:1980年本学経営学部卒業者)
公認会計士試験は第1次から3次まであるが、重要なのは2次試験である。2次試験の 合格率は10%程度で、平均合格者年齢は25歳前後である。大学卒業後専門の学校に通い、数年勉強しないと普通合格しない。業務内容は個人で税理士業務を行なうか、監査法人に勤務し、会計士として監査業務を行なうかのどちらかである。監査法人の業務は広がりを見せており、近年は都道府県の監査や環境監査、それにコンサルティング業務が出てきている。ただ会計士個人個人として見ると、仕事が分担化し、サラリーマン的になっており、嘗ての個性的な専門職の色合いは薄くなってきている。監査費用は安くなく、最低でも年間数百万円以上掛かる。
・「建築士」加藤万佐志氏(パナホーム愛媛:第5期生)
一般に制度としての建築士と職能としての設計者は異なる。有名な建築物でも設計者が建築士の資格を持っていないことがある。つまり建築士が実際の設計をすべて行なっているわけではない。建築士の世界も他の社会と同様近年女性の進出が目立ち、母校(京都大学)の建築学科を見ると 20年前とでは隔世の感がある。日本のように工学部に建築学科があるのは海外では珍しく、大学院から始まったり、建築学部がある国が多い。試験は1級建築士の場合、学科の合格者が20%弱で、学科試験合格者に行われる製図の合格者が50%弱である。毎年8000人程度が合格している。

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