- 教員氏名
- 加藤 正浩 教授
推倒一世之智勇 開拓萬古之心胸 (陳龍川)
一時的な名誉、名声を追い求めるのではなく、百年後に読まれる研究を志し、未来ある社会を切り拓く学生を育てる。それが私のモットーです。
イギリスにおける職業会計士による財務諸表監査の制度を研究しています。財務諸表監査は、財務諸表の作成に関わる企業の自発性、イノベーション(発想の転換と技術革新)の許容限度を決めて、会計という企業の私的な生活領域に対して干渉する公共的な領域の限度を決める、無形の人間行為です。監査はこのような限度を規範として見極めて行いますが、規範は明文化された規則の場合もあれば、明文化されていない原則の場合もあります。とくにイギリスでは、会計という企業の私的な生活領域に対する公共的な干渉を法律によって硬直的に行うことを制限し、法的安定性(財務諸表の比較可能性)よりも具体的妥当性(財務諸表の目的適合性)を重視し、職業会計士を監査人として、規範を法律制定、会計基準形成の場ではなく監査の現場で見極めるというかたちを採用しています。そのため、監査人は事実判断だけでなく価値判断もしていかなくてはなりません。イギリス社会におけるこのような制度の実現の社会的文化構造と、そのような環境のなかで監査を行う監査人の価値判断に関わる秩序形成を研究の対象としています。